海洋の温暖化は急速に進んでいる

taraiok 曰く、

「地球温暖化」とは「海洋の温暖化」を意味している。しかし、海の温度調査は広い地域で長期的な測定を必要とする。この測定は多くの海洋学者によって取り組まれているが、最近になって調査方法に進歩があったようだ。Climate Dynamics誌に掲載された論文では、
3つの異なるグループが調査した海洋温度測定を比較した。いずれのデータでも海洋温度が上昇していることが確認されたという（theguardian、slashdot）。

過去の海洋温度の調査では特定のバイアスが掛かっていたことが確認されている。1940年代の測定では船からバケツを落として海水を回収し温度調査が行われていた。その後エンジン吸気ポートにつけられたセンサーで測定されるものも登場した。この二つではバケツ方式の方が水温が低く出るという。

第二次世界大戦中、英国海軍はバケツ測定を減らし、米国海軍はセンサーによる測定を増やした。このことはデータ上の海水温度を上げる結果になった。さらに戦後になって英国海軍がバケツ測定を増やすと海水温度は低下することになった。海洋温度の変化の真の割合を知りたいのであれば、こうした条件の違いを取り除いていく必要がある。

温度測定の正確性に問題があるもう一つの要因に、温度センサー設置場所の偏りがある。貨物船から投下するタイプのセンサーでは、主要航路を中心に高密度に配置されている。最後の問題としてに気候学に基づく気温ベースラインの問題がある。1990年以降の気温を基準にするのか、それとも1970年？やっぱり1900年以降？といったようにどの基準から温暖化が発生したのかを決めることが重要になる。

論文では3つのグループがマッピング、バイアス、および気候学に関しての条件さまざまな方法を検討した。その結果、細部については意見が分かれるものの、海洋の温暖化は間違いなく進んでいることが確認されたとしている。