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猿が撮影した写真の著作権侵害をめぐる裁判、米控訴裁判所が棄却 15

ストーリー by headless
棄却 部門より
米連邦巡回区第9控訴裁判所は23日、野生のクロザルが撮影した写真の著作権侵害をめぐる訴訟を棄却した(裁判所文書 : PDFArs Technicaの記事The Registerの記事The Vergeの記事)。

写真は英国の野生動植物写真家David Slater氏のカメラを使ってクロザルが撮影したものだ。Slater氏が自身の著作物として写真集などを出版したことから、写真を撮影したクロザル「Naruto」の著作権を侵害したとして、動物愛護団体PETAがNarutoの代理(Next-Friend: 近友、訴訟を提起する力のない者に代わって訴訟を提起する人)としてSlater氏らを訴えていた。

一審ではクロザルに著作権は認められないとして訴訟を棄却したため、PETAが上訴。しかし、控訴裁判所での口頭弁論の後、和解が成立したとして訴訟の取下げ申立をSlater氏側と共同で提出する。これに対し、控訴裁判所はNaruto自身が和解に合意していないなどの理由で申立を却下していた。

控訴裁判所では動物が訴訟を提起する権利を認める一方、著作権の認められない動物が著作権を侵害されたとして訴訟を提起する権利はないと判断し、一審判決を支持している。Slater氏側が要求していた控訴審での弁護士費用負担も認めた。

意見書ではNarutoと特に関係のないPETAが近友として訴訟を提起できない点や、動物の近友は認められない点を指摘。また、裁判で旗色が悪いとみたPETAがNarutoの利益とは無関係に和解を進めたことについて、PETAはNarutoのためではなく自らの利益のために訴訟を起こしたと批判している。
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  • by akiraani (24305) on 2018年04月28日 23時11分 (#3400359) 日記

    無分別に影響力のある権利が、無手続きで自然発生するというのがそもそも制度として限界に近い、ということを象徴している事件だったと思う。
    この写真は「猿が撮った」という希少性によって大半の価値が発生しているわけだが、結局のところ、単なる偶然の産物でしかなく、芸術性とか皆無。ただ、そういう価値の性質を考慮することなく著作権は平等に発生する。
    最終的に、猿は権利を持たないから著作権者なしという結論にはなったけど、本来考えるべきところはそこじゃあない。「希少性の持つ価値」は著作権法で保護すべき価値なのかというところを突き詰めるべきだ。

    厳密に言えば、無手続きで発生すること自体は致命的な問題ではないだろう。
    ただ、理念的には、著作権は著作者の創作インセンティブとして与えられる権利なので、偶然の産物だろうが無分別に発生するというのは大きな問題だと思う。

    写真もそうだけど、技術の発達で音楽や絵も素人でも簡単にそれなりのクオリティのモノができる時代になりつつある。素人が10秒で書き殴った落書きを高度なAIで処理すれば、ある程度の見栄えがする絵になるし、ランダムで作ったフレーズを聴ける音楽に編曲してくれるシステムも存在する。
    はたしてそんなものに今の強力な著作権を適用して、社会的にどんなメリットがあるのだろうか。そのあたりもうちょっと考えて、ベルヌ条約という大昔にできあがった著作権法の仕組みを根本から考え直す時期に来ている気がする。

    --
    しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
    • 著作権法は「希少性の持つ価値」を保護しているわけではないでしょ。
      対象は「著作物」なんだから。

      「希少性」で写真集を売り出したのは、ビジネスでありプロモーションであるので。

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    • by Anonymous Coward

      素人が10秒で書いた絵に著作権が発生したっていいだろ?
      文句があるならお前が10秒で書けばいいんだから。
      10秒で書いた絵に価値などないと言いつつなんで自分で書かずに人の成果物を使おうとすんだよ?

  • by Anonymous Coward on 2018年04月28日 19時54分 (#3400315)

    原告に対して裁判所が「死ねクソが」って言外に言ってるような判決だな

    • by hjmhjm (39921) on 2018年04月29日 13時20分 (#3400487)

      今後、同類の裁判を起こされにくくしたいんだろうな。
      勝手に都合よく「動物の権利」を使ったり使わなかったりするな、と指摘されてるし。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      原告が原告なんでざまあみろという感想しかない

  • by Anonymous Coward on 2018年04月28日 20時04分 (#3400318)

    「Naruto自身が和解に合意していないなどの理由で申立を却下」なら
    「Naruto自身が訴訟に合意していないなどの理由で申立を却下」だな

    • Re:なるほど (スコア:2, 参考になる)

      by Anonymous Coward on 2018年04月28日 20時40分 (#3400326)

      > 動物が訴訟を提起する権利を認める
      あたりまえだが、本人以外でも条件さえ合えば訴訟を提起する事が出来ます。(赤ちゃんの代わりとかね)
      その場合、合意があるか無いかは関係無いんですね。
      ただし、今回はPETAにその資格が無いとされて、棄却されました。

      親コメント
      • 資格っていったら動物に写真を撮らせることができるまで仲良くなった写真家のほうだよね。
        PETAは心の友かもしれないが親友でもなんでもない。

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      • by Anonymous Coward

        それは意見書だからね
        > 控訴裁判所はNaruto自身が和解に合意していないなどの理由
        ってことで少なくとも今回は認めてる

    • by Anonymous Coward

      Narutoは置いといて、赤ちゃんだったら親は訴訟起こせるけど、親は和解できないってことだな。そんな裁判所の運営でええんか?!

      • by Anonymous Coward on 2018年04月29日 20時11分 (#3400628)

        裁判所の判断は親は赤ちゃんの利益を追求する姿勢がある限り、和解を認めるし勧告もするでしょ。今回問題になったのは赤ん坊を売り飛ばすような和解案を勝手に協議するなら、親に代理人としての資格を認めないって話で、父親と母親で意見が違う時や、両親が死亡して祖母と伯母で争う時なんかはよくあるケース。

        親コメント
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弘法筆を選ばず、アレゲはキーボードを選ぶ -- アレゲ研究家

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