ポスドクの半分は海外にいる。 133
たしかにそうかも 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、
素粒子理論限定の調査だが、1998 年から 2008 年の 10 年の間にポスドクが就職するまでに必要な期間が平均 3.4 年から平均 6.4 年へと約倍増し、職が見つからない若手研究者が海外へと流出していることが分かった (毎日新聞の記事より) 。
海外流出率は 98 年度は 3 % 弱だったが、04 年度では 28 %、08 年度では 41 % と急増している。この海外流失もアメリカ等の先進国で大学教員になるわけではなく、韓国や台湾等の東アジアの国に数年任期のポスドクとして雇用されているのが実情で、研究環境の良い国への頭脳流出というよりも、経済難民としてアジアの国々へ流出しているだけのようだ。これは国が常勤職を確保しないまま無計画にポスドクを増やした政策が背景にあり、政府の無策ぶりが露呈した格好である。
素粒子論分野のみではあるが、海外在住の研究者を含めてほぼ全数を調査した例は珍しく、他分野でも同様の傾向があるとみられる。昨年のノーベル賞受賞でもわかるように日本が世界に誇る研究分野で起こっている現象だけに日本の将来の基礎科学の発展への影響が懸念される。
タレこみ子としては、日本政府は多額の税金を投じて育成した活きの良い若い研究者をわざわざ他国に渡しているように見える。半導体や磁性など IT 技術に直結する分野で同じ事が起こっていたら、日本は税金で育てた研究者をわざわざ外国にプレゼントし、彼らが開発した技術をその外国から買うという愚策を行っているとしか思えない。文部科学省もノーベル賞を沢山取りたいとか、国際的に稼げる特許を沢山持ちたいなら、それなりの覚悟で早急にこの状況を改善する必要があるのではないだろうか。
武者修行 (スコア:3, すばらしい洞察)
国内でぬくぬくと、英語が苦手なままおっきくなっちゃうより、いいんじゃなかろうか?
どのくらいの割合が「行ったきり」になっちゃうかはわかんないけど。
Re:武者修行 (スコア:1)
日本ぐらいですよ? ここまで英語ができないのは
fjの教祖様
Re:武者修行 (スコア:2, 興味深い)
奇妙な話ですが、ヨーロッパの人は意外と英語はできませんが、英語で話はできます。これは英語力はそこそこ高いのに、英語で会話できない日本人とは対照的だと思います。
つまり、例えばI will goingとか言ってもとりあえずは通じるということです。物おじしないで英語を使う人が多いので、フランス人とかイタリア人がアメリカに行っても道を聞いたりとかはあまり困らないようですが、ペーパーテストをやると日本の中学校も落第するんじゃないかというくらいです。逆に日本人は、ちょっとでも間違えるのを怖れている人が多いような気がします。
Re:武者修行 (スコア:1)
おっしゃる意味は分からなくもないですが、こうやって「英語を学ぶこと」を目的にしてしまうのが日本人の悪いことじゃないんでしょうか?
英語はあくまで別の目的を達成する(研究上の議論をするとか、商談するとか、生活するとか、旅をするとか)際のスキル・手段に過ぎません。自転車に乗れた方が行動範囲が広がるのと同じで、自転車競技命というわけでもなければ、「正しい」自転車ののり方を日々意識して学習することもない。
それに、下手な英語を恥じて喋らない日本人と、意味不明の英語をまくしたてて恥をばらまいている日本人のどちらが多いかというと、圧倒的に前者という気がする。それを改善するために、「英語は下手でもいいんだよ」と奨めることは、適切な方策と思うんだが。
Re:武者修行 (スコア:1)
という3段階に分けたとき、「レベル1の日本人が多すぎる、とりあえずレベル3は無理だとしてもレベル2にはなった方がいい」と言っている人に対して「いつまでもレベル2のままでは駄目だ、レベル3になる努力をした方がいい」と言ったって話がかみ合うはずがないでしょう。
そもそも、日本人の多くがレベル1に留まる大きな理由は英会話への恐怖感だろうという話なわけで、そこで初めから「皆レベル3を目指すべき」とハードルを上げてしまうのは、恐怖感を増幅するばかりで逆効果なんじゃないでしょうか。
「とりあえずレベル2を目指せ」という意見は、単なる優先順位の問題であって、英語学習を拒むのとは違うと思いますよ。
最終的にレベル3になるのが目標としても、まずはレベル1→レベル2というステップアップを経る必要があるのですから。
#なかなかレベル3になれないレベル2なのでID
Re:武者修行 (スコア:1)
何度も同じことを言いますが、恐怖心から英語を話すという行為に踏み切れない人相手に、「レベル0はいけない」なんてハードルを高くする話の持っていき方をしたって恐怖心を払拭できるわけないじゃないですか。
実際の英語力の高低に関係なく「自分は英語が話せない」と思い込んでいる人が、「通じない英語なら話さない方がマシである」と言わんばかりの意見を聞いたら、「じゃあ話さないままでいよう」という反応になりますよ。それはいくら英語自体の勉強を重ねたって同じことです。
それよりは、「レベル0でも構わないからまずは話してごらん」と柔らかく勧めておいて、英語を話すようになった後で上達を促す方がずっと有意義だと思いませんか。
あと、
これはいかにも英語が得意な方の発言だなぁと感じます。私を含め、「英語が苦手」な人間の英語力はそんな生易しいものじゃありませんよ。
#自分の専門分野ではこの方と同じようなことを言っている気がするので自戒を込めてID
Re:武者修行 (スコア:1)
誰も初めから「レベル0に誘導する」なんて話はしていません。
ちゃんとした英語力があって、「英語を話す」という決意をして経験を積めば早晩(上手いとは言えなくとも)それなりの英語を話せる(←レベル2)ようになる見込みがあるにもかかわらず、英会話への恐怖心からその一歩が踏み出せずにいる人(←レベル1)を最終的にレベル2へ導くための誘い文句として、まずは「レベル0になっても構わないから、とにかく英語を話してみよう」と勧めるのがよいだろう、という意見です。
繰り返しになりますが、優先順位の問題として、英語自体の上達よりもまずはとにかく英語を口にできるようになるのが重要ということです。
私見ですが、今英語力があるのに英語を話せないでいる方の多くは、究極的には英会話を「必要」と感じてはいないのだと思います。
私自身が英会話に対する心理的抵抗感を払拭するきっかけとなったのは、大学院生時代、師匠(指導教官)の勧めで海外での国際学会とそれに続けて催された2週間のサマースクールに参加したことです。
で、往路と前半の国際学会では英語が堪能な師匠にへばりついていたので英語をろくに話さなくてもとりあえず死なずには済みましたが、後半のサマースクールには師匠抜きで単独参加でしたので、英語を話さないことには現地での生活はおろか、復路で無事に日本へ帰還することすらままならないわけです。
その状況に置かれてようやく、「異国の地でのたれ死ぬよりは恥をかく方がマシだ」と腹が据わって、英語を口にすることができるようになりました。
当時の私にとって、英会話は「必要」なものでした。だって、それをしなければ死んじゃうんですから(実際に助からないかはともかく、少なくともそう感じてはいました)。
一方、現在英語を話せない状態でどうにか生活できている方の多くは、英会話を「できた方がよい」を思ってはいるけれども「必要」とは実感しておられないのではないでしょうか。(全員が、とは申しません。心理的抵抗感の強弱も人によって様々でしょうから、「必要」と感じているのに恐怖心を払拭できずにいる方もおられるでしょう。)
何度も同じことを言いますが、まずは滅茶苦茶な英語でもよいからとにかく「英語を口にする」ことへの抵抗感を払拭してしまって、英語の上達にはその後取り組めばよいではないですか。
なぜ、初めからちゃんと通じる英語を話させることに固執されるのですか?
日本語を習得中の外国人の同僚と一緒に仕事していて、実際に彼らと日本語で会話する機会のある私自身の経験から言いますと、上記の例はどちらも程度の差はあれ「下手な日本語」に属すると思いますが、それでも「何も喋って貰えない」のに比べれば遥かにマシです。
件の同僚に対して「ちゃんとした日本語を話せるようになるまで日本語を話すべきではない」なんて言う気には私にはとてもなれません。
Re:武者修行 (スコア:2, すばらしい洞察)
そんな「旅行に役立つ英会話」なんてどうでもいいよ。研究者なんだから、研究室での日常と発表の場での英語が鍛えられたらいいわけで。
すくなくともアジアでは研究活動に母国語だけでやっていけるって日本くらいでしょ。
Re:はい? (スコア:1)
>研究者の性格の傾向で日本では英語(外国語)の会話力が低い、とかあるのだろうか
むしろ,環境のせいかなあと.
研究がそれなりに盛んな先進国だと,
・アメリカとかカナダとかその辺 -> 元々英語が母国語
・ヨーロッパの国々 -> 周囲の国々との間で学生/ポスドク時代から行き来が多く,
嫌でも英語が出来ないと研究の世界に残れない.
(トップに近い研究室ほどいろいろな国のポスドクがいますので,研究室内の公用語は
例えばフランスやドイツ国内の研究室でも英語だったりします)
一方,なかなか先端の研究が出来ない発展途上国だと,
・まともに研究をやろうと思えば他国に出て行くしかない(=英語を使うしかない)
と言うのが有るのですが,日本だと,
・元々他の国との間での人材の交流は少なめ
・母国語だけでも先端の研究が出来てしまうぐらい発展している
と言う点がありますから.
とは言え,研究やってれば嫌でも国際学会だのに出たりディスカッションはしてるわけで,皆さん最低限の英語は出来ます.
ただ,言い回しの豊富さだとか,うまい言葉の選びかたなんかを見ると,ああ,うちらはまだまだだなあと.
いや、普通・・・ (スコア:2)
>> タレこみ子としては、日本政府は多額の税金を投じて育成した活きの良い若い研究者をわざわざ他国に渡しているように見える。
海外行ったっきりではそうですが、ドクター・ポスドクの間に1年でも海外経験は必要だといわれています。海外に出るとハク(漢字がわからん)がつく、ってんで海外には1度は出ようよね?というのが常識でした。最近のようにドクター余りが言われる前でしたので、最近の事情は知りませんが。
ただ、海外の研究機関から呼ばれた場合と、自分から金出して行く(=海外の研究機関のポスト・椅子を買う)のとでは雲泥の差ですので、面接官はその辺りを見抜く力が必要です。
-- gonta --
"May Macintosh be with you"
なぜ素粒子論では? (スコア:2)
それで (スコア:1, 興味深い)
海外に出て行った彼らは優秀なの?
Re:それで (スコア:1, 参考になる)
今は、ポスドクで海外に行っちゃうと国内で就職できなくなる可能性が高いので、
優秀な人は国内にポストを見つけて、足場を固めてから海外に行く。
もちろん海外志向の優秀な人とか、国内に強力なコネを持っている人とかもいるけれど、
ポスドクで海外に行ってる人たちは国内で雇ってもらえない人が多いんじゃないかな。
Re:それで (スコア:4, おもしろおかしい)
うける印象は違うなぁ。
海外に行く人の多くは学振の特別研究員を半年やってから転出とか結構あるし。
良く言われるのが「海外に行ける人は学振を取れる」だし、海外の雇用主だって選択の自由はあるわけで、たとえアジアであれ世界で通用しないやつは雇用されないからね。
だから中心値をみるとやっぱり海外組が優秀だと思うし、国内にずっといるやつはやっぱり売れ残りだと思う。
それに国内残留組には博士取った後に誰にも雇用されずに非常勤で食っているフリーターみたいのが結構いるからね。 このフリーターが統計に入っているのかしらないけど、もしも入っているのなら、本当に研究している若手の大部分が海外にいるってことになって、さらに危機的だと俺は思うぞ。
#もと中の人だけにAC
Re:それで (スコア:1)
まぁ、この程度だから「もと」が付いてしまった思ってください。
名誉の為に言っておくが、残って頑張っているやつは本当に凄いからな。
彼らを見殺しにしている政府というか日本が俺は気に入らない。
#凄くないのがこうなるんだい。
Re:それで (スコア:1)
もうこれを期に AC で発言するのやめましょうよ.すっきりしますよ(謎
Re:それで (スコア:1)
第1志望が海外ってひとと、国内での就職を望んでいるがないので第2志望として海外へってひとはまた違うでしょう。 もとの毎日新聞では頭脳流出を憂う書き方ですが、タレこみ文では「研究環境の良い国への頭脳流出というよりも、経済難民としてアジアの国々へ流出しているだけ」と反対の立場ですね。
Re:それで (スコア:1)
情報系だと、和文の学位論文で通ってるところも結構あるはず(どれだけの比率かは知らない)。
ぐぐって見たらいろいろ出てきました。 和歌山医科大の自己点検レポートが出て来たけど、学位論文の英語率は27,25、30%(H11~13)だとありました。 順天堂大学じゃ英文が81%(課程博士?)と59%(論文博士?)と、平成19年度事業報告書(PDF) [juntendo.ac.jp]にあります。 鳥取大学大学院連合農学研究科学位論文提出の手引(課程博士)には「英文または和文」とあります。 東京農工大学のWEBサイトにも「学位論文が和文の場合には○○・・」という指示があるので、和文の学位論文は可能と考えられます。
とまぁ、ぐぐってみた感触では確かに和文でもOKなのは少数派っぽい。 もしかして、医学、農学、情報工学だけが例外で他の分野は全部英語onlyだったりするのかも。
Re:それで (スコア:1)
3月に京都大学の工学研究科で流体力学の研究で博士号を取得した友人の博士論文も日本語でしたね。
彼は現在同大学の助教をやってます。
私は理科系ではないですが、京都大学経済学研究科から日本語で書いた博士論文で学位をいただいています。
私も彼も博士論文は英文ジャーナルに掲載された論文を元にしています。
英語でなければ不可、という分野はそんなに多くないんじゃないですか。
Re:それで (スコア:1)
私は団塊ジュニア世代ですが、当時同年代で海外留学してた人は
大学に入れなかった人が多かったです。
この話もそんな感じじゃないかと考えます。
いいこと考えた (スコア:1)
海外に流出した研究者の所属してる会社を、日本が買い取ればいいんだよ。
それで解決。
『労働者』の生活を守るため (スコア:1, 参考になる)
>タレこみ子としては、日本政府は多額の税金を投じて育成した活きの良い若い研究者をわざわざ他国に渡しているように見える。
「知人の会社が、派遣社員300人カットして、親会社から中高年正社員を受け入れる
らしい。人件費は大幅に上がってしまうため、新卒採用も凍結するそうだ。
本社の決定だが、もちろん労組も全面的に支持している。
というより労使で一緒に決めたことだ。
なにはともあれ、これで赤字ラインの中高年正社員さまの生活は守られたわけだ。
「労働者の生活を守れ」と叫ぶ人たちのいう労働者とは正社員のことなので、
基本的に学生や派遣さんは含まれていない。」
http://blog.goo.ne.jp/jyoshige/e/b9c615aa4d4091deaf4e68648da891a4 [goo.ne.jp]
こういう状況で、正社員でもなければ新卒でもない人材は、その能力の如何に関わらず
日本企業は採用しない。その結果として有能な人材を採用してくれる国へと流出する
のはいたしかたあるまい。
素粒子論分野 (スコア:1)
>税金で育てた研究者をわざわざ外国にプレゼントし、彼らが開発した技術をその外国から買う
素粒子論分野で何を買うのか想像できんな。
そういったバカげた損失がないなら、ポスドクが無駄にならず外国のためにもなるという結構な話だ。
the.ACount
い〜や、大丈夫ですよ。 (スコア:1)
あんまり税金を投じてませんから [gamenews.ne.jp]、国外逃亡されてもノープロブレム。
Re:い〜や、大丈夫ですよ。 (スコア:1)
最近、大学院後期は実質無料にしている所があるようですよ。東大とか。
例えば「東大 大学院 学費 無料」とかでググってみてください。他大学で実質無料にしている例をいくつか聞いた事あります。
Re:い〜や、大丈夫ですよ。 (スコア:2)
家計の状況に応じた授業料免除制度はありましたが、それも年々通りにくくなっていましたし。
#私自身は、D1のときは日本育英会(当時)奨学金とティーチングアシスタントの給料でどうにか授業料をまかなえていました。
#D2からは幸運にも学振特別研究員になれたので授業料の心配はしなくてすみましたが。
私が院を出た後、ごく最近になってからは実質無料化の噂も聞きますが、そんな具合ですので現在ポスドクと呼ばれている人達の(少なくとも東大卒の人達の)大部分には影響の無い話だと思います。
勿論、今後新しくポスドクになる人達には大いに救いとなる話だと思いますが。
Re:そんなことよりも (スコア:2, すばらしい洞察)
web記事とはいえ、新聞くらいは正式名称(非略称)で解説して欲しい。
あと、何にでもこういった略称を作るのはセンスが無いように思う。
Re:そんなことよりも (スコア:1)
確かにそうだね。
でも僕が言いたいのは技術関連の略称とかではなく
・キムラタクヤ →キムタク
・結婚活動 →婚活
・冬のソナタ →冬ソナ
・超ベリーバッド →チョベリバ
などのスラングとか、若者言葉的な言葉の事です。
[ポスドク]は[キムタク]に近いにおいがする様な気がする...
# オールドタイプなので変なところを気にしてしまうの、許して
Re:そんなことよりも (スコア:1, すばらしい洞察)
Re:そんなことよりも (スコア:4, 参考になる)
>ポスドクって国の政策で増やしたの?
ポスドク1万人計画ってのが有りましてですね.
「日本の基礎研究が微妙なのは研究者層が薄いからだ!研究先進国のアメリカのように,厚いポスドクの層を作ることでもっと柔かつ強力な研究体制を!」って10年ちょっと前に政府方針を元に文科省(当時は文部省でしたっけ)あたりが中心になって始めたわけですよ.
当然ながらかなりの数の教授・助教授あたりから「そんなに増やされても面倒見切れん」(ポスドクは,雇う側としては,良い成果を出してくれるだけではなく,出来ればその後の就職までしっかり決めてハッピーになってもらいたいってのが少なからず有りまして.まあ一緒に仕事する同僚ですからねえ.研究室のボスが学生の就職にある程度責任を感じるようなものですか.無論そんなことなんて知らねぇ,というボスもいますが),という反論は多数出たのですが,まあ政府方針ですので決まります.日本の研究者は昔から(外部)政治活動に関わらないことを良しとしてきた面も多々ありますので,自業自得でもあるのですが.
そう言う意見に対しては,「まあ今後団塊世代の退職に伴ってポストも多数空くし,企業への就職も進めるから大丈夫」という点で文部省は押し切り,また「大学院重点化で,院生とか増やしたら助成金たくさん上げるよ」という財政面から間接的に博士課程への進学者が増えるように推進してきました.進学者をばんばん増やせば,同程度の審査でもDr取得者が増えるのはまあ道理です.
……でまあ,大方の教授・助教授陣の危惧通りポストは増えずポスドクだけが極端にあまり続けるという現状に至ります.
結局,定年の延長だとか政府の公務員人件費削減方針(毎年一律1%削減でしたっけ)によりアカデミックポストは増えず(というかむしろ減り),企業への博士号取得者の採用支援も機能せず,とりあえず入り口の蛇口だけはひねってみたけど出口は考えてなかった,という,まあ分かっていたけどという結果ですね.
Re:そんなことよりも (スコア:1)
国策としては、
・競争的研究資金で、非常勤職員として研究者の人件費を支出できるようにした
・大学院を増やした
てとこじゃないすかね。博士号の審査を国策として甘くすることはないっていうか無茶っていう気がしますが、20〜30年前に博士号を取った人たちが学んでいた研究環境(指導教官が学生に取る姿勢)を今と比べて「最近は優しい先生ばっかりになっちゃったねぇ」という昔話を聞くことはあります。
Re:一つの可能性として (スコア:2)
Re:一つの可能性として (スコア:2, 参考になる)
>ポストを増やすのではなく育成量を減らす事だと思う。
一応時系列的な流れとしては,
1. 「基礎研究ただ乗り,良くない」(海外勢)
2. 基礎研究を促進するために研究者を増やさなくては!(政府方針)
3. 入り口を広げて供給量を増やしてみた.(文部省のやってみたこと)
4a. でも公務員の人件費は削減だからアカデミックポストは削減ね(行政側)
4b. や,企業的には博士はそんなに要りませんよ(企業側)
5. ポスドクが世に溢れる(現状)
6. ポスドク減らした方がよくね?(今の文科省的雰囲気)
とかそんな感じで.
一応はけ口を作ろうという文科省的活動が無いわけでもないですが,まあ効果は微妙.
Re:一つの可能性として (スコア:1)
Re:一つの可能性として (スコア:1)
それが現実に適用された経済の論理ってやつだねえ。
Re:一つの可能性として (スコア:1)
その結果こうなったのだから、インセンティブ設計の方針を決めるところから
すでに間違っていた。なぜなら正しい設計のためのインセンティブがなかったからだ。
偶発的な間違いを超えて、組織的な間違いが継続した場合は、システム的な原因を求めるべきだ。
Re:一つの可能性として (スコア:1)
あなたが「インセンティブ設計」といっているのは、金融の法制度の話だね。
私が想像したのは、たとえばリーマンブラザーズという企業内の報酬体系の話だ。
前者について言うなら、たとえばケインズという学者が理論を究めようとした、
そのモチベーションをインセンティブで左右しようとするのは傲慢としか呼べない。
あの時代までの経済学は、いわば非営利的な活動だったと思う。
今の経済学は、もうちょっと映画産業に似ていて、経済理論というプロダクトを
通じてどうやって出資者がもとを取るか、ということに力点が置かれるように
なってきた。ここで出資者というのは、たとえばスウェーデン国立銀行とか。
そして全体としては、営利的活動の色合いが強まったと言う他ない。
Re:なんで (スコア:1, 興味深い)
> 「国が悪い」ことが前提で書かれるんでしょうかね?
国内で使う当ても無いのに、国策で増産したからじゃない?
アジア諸国を援助する名目で増産・派遣してるなら、
意図通りに機能してるからいいと思うけど、
もともとは国力強化を狙って金を掛けてたはずなのに、
国内で使えないパーツを増産してたら、そりゃ批判されるよ。
> 「国が間違っているから俺たちを助けろ!」という態度の人が
> 目につくように思うんですが気のせいでしょうか?
見た事無いです。
気のせいじゃないですか?
> そもそもそんなに国が悪けりゃ、
> 日本の大学なんかで勉強するより海外へ出た方が
> 正解のような気がしますがいかがでしょうか。
#1578064と同じ脊髄反射ですか?
別に日本が嫌、海外の方が美味しくて流出してるんじゃなく、
日本で使ってもらえないので海外に出てるって書いてあるじゃないですか。
全くもって見当違いだと思います。はい、
Re:なんで (スコア:2, 興味深い)
その程度のコストは払ってもおつりが来る。
優秀なポスドクが海外で育てた後輩が日本に憬れてくれれば、優秀な人材が日本に集まることになるし、政治等でも日本に味方をしてくれる人々が増えることになる。
この手の政策は結局 塞翁が馬 な性質を持っている。
ケツの穴の小さいことは言わないのが一番。
fjの教祖様
Re:なんで (スコア:1)
そういう古代アテネみたいなことになればそれはそれでいいのかも知れないけど。
どうかなあ。
「おととい来やがれ」 (スコア:1)
10年前の政策の失敗を、今の若者に一体どうしろと?
しかも彼らが未成年で参政権さえなかった時の失敗ですよ。
失敗した人が失敗の責任を負うのが当然では。
Re:「おととい来やがれ」 (スコア:1)
ん!?
国が責任を負う義務教育は中学までだぞ。
それ以上は本人(家族)の意思だ。
優秀な人材の海外流失は残念だとは思うが、<本当に優秀な人材なのか!?
国策として、別に失敗しているとは思えないが。。
国策の失敗(大学関連)というなら、医学部の締め付けの方じゃないかな。
国費使って、なんか不良品を大量生産しちゃったって意味なら、
まー国策の失敗かなぁとは思うけど。
Re:「おととい来やがれ」 (スコア:1, 興味深い)
>たとえアジア圏でも優秀でない奴を取るような国はありませんぜ旦那
いや、そうでもない。
アジア圏の特に微妙な発展度合いの国(例えばマレーシアだのタイだの)だと、そもそも先進国と同等の研究をしていても論文が色眼鏡で見られるために通りにくい(いや、確かに酷い論文多いんだけどさ)、ごく一部の研究室を除いて設備が劣悪、などの悪条件があるから、人材的には優秀であっても論文が非常に通り難いという現状があり、日本のわりとショボショボのポスドクの業績ですら輝いて見えていたりする。
以前東南アジアの何カ国かに講演に行った際に見たんだけど、その国トップの大学ですら化の共同実験室にエバポ一台有るだけ、とか、割れた三角フラスコを直しながら使ってたりとか(さすがに日本だと三角は……)、かなり悲惨な状況。
#まあそんな中でも企業との共同研究で金取ってくる研究室だけは先端設備があるんだけど。
そんなわけで、そこらの大学教授の業績なんて、下手するとIFついてない国内ローカル論文誌20報、IF付き(と言っても0-1.5ぐらいとか)5-10報とかそんなレベル。
日本だと分野/研究室によっては学生ですら超えてるんじゃないかという状況だった。
だから例えば化学だと、JACSの2-3報でも共著で持ってれば喜んで雇ってくれるそうな。給料安いけど。
#東南アジアの国々は、大学にやたらと女性が多い(男共は大学なんぞ行かずに早く稼いで遊びたいらしい)
#から、そう言う意味でも良いですよね!って同行したポスドクは言ってた。……どうなんかなあ。
>彼らの気持やその家族のことなど考えずに海外へ出ていけと貴方は言っているんだろ。
ただ、(人事はタイミングもあるから微妙ではあるが)例のポスドク1万人で箸にも棒にも引っかからないポスドクが増えたのは確か。そう言う方々には迅速に研究の道から消えていただいて、もっと出来る人間のチャンスを増やしていただいた方が我々雇う方としても、才能ある若手にとっても、才能のない彼ら自身にとっても良いような気もする。
Re:「おととい来やがれ」 (スコア:1)
> #さすがにきれるな、この手の馬鹿相手は。
文脈上この人がいきなりきれてる理由が全く分かりません。
元コメの言ってもいないことを勝手に想像して(想像に対して)勝手にきれているようにしか見えないです。
議論に向いてない人なんですかね?
Re:疑問 (スコア:3, 参考になる)
>よく聞くのが「給料とプライドだけが高く融通が効かなくて役に立たない」ってものなんですが本当にそうなんでしょうか?
「プライドが高く融通が効かなく」というのは嘘。いろんな人がいます。
「理系は1と0の思考で考えるから、人間としての細やかさがたりない」とか
血液型性格判断やゲーム脳なみにデタラメな話です。
役に立つ云々についても個人差ですね。ただし一般論としては専門能力は高い人が多いです。
あえていうなら専門知識を活かさない分野では、一見して普通の人と何ら変わらない
ということでしょうか。なにも博士だからと言って計算速度が3倍になったり記憶力が10倍に
なったり、一度読んだだけの本を完璧に複写できるようになったりはしないのです。
>本当かどうかGoogleがphDしか採用しないなんてこと聞きますが、この文脈では「飛び抜けて優秀な人しか採用しない」という風に読み取れます。
彼らは高度な技術開発をやってますから。また採用方法も異なり、人事部は裏方に過ぎません。
それに日本は一定品質且つ低品質な薄利多売で儲けるビジネスモデルから、一歩も抜け出せて
いないのは問題ですね。
>理工系なら一つの技術や考え方、分析力が別の分野に応用できることはままありますし、なぜここまで人気がないのかさっぱりわかりません。
根っこは「新卒で就職できないと欠陥品」とまで言われる新卒偏重や就職氷河期と同じです。
http://s04.megalodon.jp/2009-0506-2115-03/www.doblog.com/weblog/myblog... [megalodon.jp]
「ちなみに、採れない理由はこうだ。
『たとえば修士だと、初任給で5万円高く、その差は35歳まで残る。だからそれだけ学士より
戦力だと評価されないと無理』とのこと。要するに、年齢で処遇を決める仕組みだからだ。」
「博士の就職問題がクローズアップされるようになった。
同様の傾向はずっと以前から存在したが、90年代以前は絶対数が少なかったから、
教職や研究員ポストで上手く吸収できていた。90年代後半の文科省の改革によって
絶対数が増えたことで、日本が抱えていたある恥部が赤裸々にされたのだ。
その恥部とは。先進国にも関わらず、企業が高等教育を生かす術を知らず、
また大学側もそれに甘んじて形骸化していたという事実だ。
僕が一番危惧するのは、こういう状況で、果たして日本社会にイノベーションが生まれて
くるのだろうか、ということ。
よく「学生は保守的だ」という意見がある。終身雇用が良いとか、大企業が良いとかいう人は
今でも多数派だから、僕もそう思うこともある。
でもその原因は人間性ではなく、むしろこういった保守的な環境にあると思う。
一言でいえば閉塞感だ。新しいものに挑戦しにくい空気というか、一度レールを外れたら
なかなか戻れない恐怖というか…。」
#今は亡きNTTデータのdoblogより。
勉強しすぎるとマイナス評価される国: http://blog.goo.ne.jp/jyoshige/e/e73decc70dbc5a94f39d82a06b44c4c3 [goo.ne.jp]
留学生が採用されない理由: http://blog.goo.ne.jp/jyoshige/e/a055dc5ee14aaf10245710f9dd8a3810 [goo.ne.jp]
Re:疑問 (スコア:2, すばらしい洞察)
一応課程博士ですが、まぁいろいろです。羨ましくなる位ポジティブで仕事ができて謙虚な人もいれば、この人に自我はあるのだろうか?ってくらい他人のいいなり・指示待ちな人もいます。学部卒や院卒(修士)で企業に行った仲間の話と併せると、仕事できる度(?)の分布は世間とそんなに変わらないんじゃないかなぁ、と。
Re:疑問 (スコア:2, 興味深い)
結局昨今のポスドク問題は,ドクター持ちは頑固で融通が利かない,あるいは研究者として使わないとダメだ
と思っている企業と,ドクターとったらアカポス以外あるいは研究職以外は考えられない,という頭の固い
大学院生&ポスドクの両方の所為だと思っています.
大学院生増やす,ポスドク増やす自体はいいと思います.ポスドクいないと研究進まないし.
技術職員ポストとかもどんどん減らされて,現場の研究はポスドク便りです.
ポスドクはいわばドクター取り立てのヒトをオンザジョブトレーニングとして使うわけで,
それを労働力として使えて本人はトレーニングできるという制度としては非常にいいわけです.
ただ,プロジェクトが終了して=ポスドクの任期が終了してその後,企業が受け入れてくれない,使い方を
分からない&正式な(パーマネントな)アカポスが元々少ないのに(需要もないのに)それに固執するポスドク難民の
ダブルパンチなんで,誰が悪いとかではなく多面的な対策が必要です.
欧米とかだとカスタマーサービスのトップとかもドクター持っていないとなれないわけです.
営業とかでもドクターもってたり,あるいは持っていないと昇進できなかったりするわけです.
研究職でもドクター持ちじゃないと昇進はあり得ないですし,個室割り当てないし,一生
ドクターに使われる側なわけです.というわけで社会にドクター持ちの需要があるわけです.
ドクターなんてたんに一定の研究活動が行えるレベルの人間です,程度の意味なのに企業も構えすぎ
ドクター持ちもプライドありすぎです.視野が狭すぎです.
日本はそこらへんの対策がまったくすすまず理系博士持ち=研究者というのに全員が
しばられすぎです.
# 脱サラ大学研究者なので AC
Re:疑問 (スコア:1, 興味深い)
情報系の人間なので、理学系のことはまったく知らないという前提で読んでください。
そもそも、日本のドクターは学校の先生が面倒みればだいたい通り、アメリカと比べてドロップアウト率が低すぎるため、ドクターを取ったことによる価値がアメリカより乏しいと思われます。
よって、日本企業で研究職になるにしてもマスター卒でもドクター卒でもそれほど大きな差が生じません。
マスター卒研究職にとって、ドクターは社会人になってから英語表記の名刺の呼称にDr.をつけるためや、アカデミックポストを得るための手段にすぎません。
根本的に、日本において、学校学歴は重視されず、新卒かつ学部卒の学校名が重視される社会に対して、
アメリカは、最上位の学校経歴できまる社会という違いを無視して、ドクターだけ問題をピックアップしてもおかしいのではないでしょうか。
たとえば、企業経営面は、アメリカはMBAを取らないと企業経営層になれないという構造になっております。
また、政策策定面においては、いくら東大卒でも、日本の官僚はほとんど学部卒なので、アメリカから見ると低学歴という評価になります。
高等教育の価値を再定義しないかぎり、ドクターだけを問題にあげて、いろいろいじっても仕方がないと思います。
Re:疑問 (スコア:1)
>本当かどうかGoogleがphDしか採用しないなんてこと聞きます
米Google本社は、そんなことないです。
大学中退でも優秀なら雇ってます。
Re:疑問 (スコア:1)
> 彼らってそんなに使い道ないんでしょうか?
そんなこと無いと思いますよ。当然人によりけりだけど。<これは学歴関係ないと思う
>「給料とプライドだけが高く融通が効かなくて役に立たない」
これも、その人しだいだね。<初任給は高いしプライドも高い人が多いのは間違いないと思うけど
> 本当かどうかGoogleがphDしか採用しないなんてこと聞きますが、この文脈では「飛び抜けて優秀な人しか採用しない」という風に読み取れます。
これはただのパフォーマンスのような気がするけどね。
ただ、これだけは言えるのが、好きで博士をとる様な奴は、
自分の研究を理解してもらうのもうまいので当然プレゼンもうまい。
結果そういう奴は自分を売り込むのも当然うまい。
そんな人間をほっとくほど大手の人事の目は節穴じゃないから当然採用される。
ただし、研究分野が業界と被ってるのが大前提だが。。
ようは、採用されない博士って、流れで入ってお情けで取れた人や、
<実際そういう人って結構多いのよ。。日本って。。
業界と被らない研究をしていた人なんだと思う。