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「試験の成績によって生徒に報酬を払うプログラム」のその後 45

ストーリー by hayakawa
この結果、貴方ならどう見る? 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

以前/.Jでも取り上げられたストーリー「試験の成績によって生徒に報酬を払うプログラム」であるが、その後日談が本家/.に掲載されている。

このプログラムは、「シカゴ、ダラス、ワシントンおよびニューヨークにおいて、成績に応じて生徒に現金報酬を払う」というもの。学校や学年によって複数の報酬プログラムグラムが組まれ、約18,000人の生徒に合計約630万ドルが支払われたとのこと。実験に参加した学校は143校に上り、うち半数は比較の為の対照群であり報酬は支払われなかった。

このプログラムには、テストの成績によって現金が支払われるものや、その報酬のうち半分が「積み立て」られ卒業時に受け取れるもの、また出席や態度などを評価に組み込んだものなどがあったという。各プログラムは短期的には高い効果を上げることが多く、対象群の学校から実験校に変更して欲しいとの声も上ったという。しかし報酬プログラムに組み込まれていた生徒が必ずしも学年末の標準学力テストにおいても良い成績を収めたり、伸びを見せるとは限らなかったそうだ。

ちなみに標準学力テストにおいて最も高い効果が現れたのは、低学年を対象にした最もお金が掛かってないプログラムだったという。小学2年生を対象にしたこのプログラムは本を一冊読み、その内容に関するコンピューターテストを達成すると2ドルもらえるというものであった。このプログラムに参加した生徒は報酬プログラム終了後も引き続き良い成績を収めることが多かったとのことだ。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 小学2年生を対象にしたこのプログラムは本を一冊読み、その内容に関するコンピューターテストを達成すると2ドルもらえるというものであった。このプログラムに参加した生徒は報酬プログラム終了後も引き続き良い成績を収めることが多かったとのことだ。

    「ご褒美につられて本を読んでみたら意外と面白かったので、今も読んでる」
    という人が大量にいるってことだろう、と思われるけれど。

    本好きとしては、本好きが増えたのは純粋にうれしい。

    .

    逆の言い方をすると、効果が出なかったプログラムでは、本当にご褒美が全てでそれ以外に得られるものはなかった、と判断されたって事ではないかと。

    餌だけしか魅力的じゃないようにしか提示できなかったのが敗因じゃないかな。

    --
    fjの教祖様
    • 確か心理学実験でもそういう結果が出てたと思いますが、 報酬としては強い順に

      心理的報酬(自分が楽しい、because its fun) > 心理的報酬(親などが喜んでくれる) >>金銭や物品
      じゃありませんでしたっけ? ぐぐってみたら こんなのが [tsukuba.ac.jp]ありました

      最初だけお金を餌に勉強の楽しさに気付かせる(知識欲に火をつける)ことに成功したってのが成功したプログラムじゃないですかね。

      親コメント
      • その不等号は常に成り立つわけじゃないと思います。
        金銭や物品ってのは、結局それをもらうことによる心理的報酬の大きさに置き換えられるわけで、
        子供のうちから「ごほうび」で釣ってると、「達成感」みたいな本来の心理的報酬より
        モノをもらえるかどうかの方に敏感になってしまうこともあるでしょう。

        昔どっかで読んだネタですが、

        あるところに黒人が住んでて、近所の子供達がやって来て悪口を言ってはやし立てる。
        で、その人は一計を案じて、子供達が悪口を言いに来たらお小遣いを渡したそうだ。
        もちろん、子供達は喜んで毎日悪口を言いに来るようになったんだけど、
        しばらく経って、もう小遣いをやるのはやめると宣言したら、とたんに誰も来なくなった。

        とかって話があります。
        この話は作り話だとしても、心理的報酬を金銭的報酬にすり替えることはできるよ、
        ってことを示唆しています。

        本来、学習して新しい知識を得るっていうのは、ものすごく楽しいことのはずなんですが、
        # ただし、基礎トレとして「つまらない」くり返しも必要ですが…
        学習する楽しさに気付く前に金銭的な報酬をもらうことが目的になってしまうと、
        それが単に餌をもらうための労働と化してしまうんでしょうね。

        親コメント
        • by Anonymous Coward on 2010年04月13日 19時48分 (#1748303)

          金銭が、プラスの方には働かないけど、マイナスの方にはよく働くというのは、実際経験している。
          これって、社会に出てからの世界でも全く同じような状態にあると思います。

          - 給料やボーナスを上げても、仕事の成果向上にはあまり効果がない。
          - 給料やボーナスを下げると、簡単に仕事の成果低下につながる。

          金銭(金銭である必要はないですが)による報酬は、一度もらうとそれが当り前に感じるというのが人間の性分なんだと思う。
          産業革命のころも同じような話があったというのを思い出した。そのころは労働者の待遇が非常に悪かったことで知られているけれども、その中に労働者の待遇改善をした工場が現れた。改善した直後は、他の工場と比べて高い生産性を示したが、数ヵ月後には他の会社と同じ生産性になり、ただのコスト高だけが残ったそうだ。

          金銭による報酬は、麻薬みたいなもんで、常により刺激のあるものを与え続けないと効果を維持できないのだと思う。

          親コメント
          • by Anonymous Coward
            なるほど、実験校を卒業した生徒のその後を追う必要があるということですね。
        • by Anonymous Coward

          あるところに黒人が住んでて、近所の子供達がやって来て悪口を言ってはやし立てる。
          で、その人は一計を案じて、子供達が悪口を言いに来たらお小遣いを渡したそうだ。
          もちろん、子供達は喜んで毎日悪口を言いに来るようになったんだけど、
          しばらく経って、もう小遣いをやるのはやめると宣言したら、とたんに誰も来なくなった。

          あぁ、昔読んだジョークの意味がやっと分かった。
          私が読んだのはユダヤ人の店主の話でした。

          ユダヤ人と喧伝させる→商売上手の噂が広まる だと解釈してました。
          たぶん、翻訳した人もそう解釈したんじゃないかな(来なくなっちゃって残念というニュアンスのオチだったので)
          やめさせるための手段だったんですね。

    • by Anonymous Coward on 2010年04月13日 19時44分 (#1748302)

      > 小学2年生を対象にしたこのプログラムは本を一冊読み、

      「小学2年生を対象にしたプログラムの本」に見えたのは私だけでは無いはず

      親コメント
    • 「なんとなくの効用」 [tatsuru.com]より:

      理由のよくわからないことを自分がしているときに、人間は「どうしてこんなことをしているのか」を知ろうとする。
      知るためにいちばん簡単な方法は続けることである。
      ずっとやって、いろいろな経験をしているうちに「あ、これがやりたくて、やっていたのか」という理由を発見できるのじゃないかなと期待するからである。
      役者やミュージシャンをやっている若者がなかなか止められないのは、別に華やかな芸能生活へのあこがれや未練があるからではない。
      そうではなくて、「どうして自分が芝居や音楽にかかわることになったのか、その理由が本人にもよくわからない」からである。わかるまでは止められない。気持ちが片づかないから。
      人間とはそういうものである。
      だから、なにか芸事を始める前には、なるべく「明確な理由づけ」をしない方がいいと私は思っている。
      「なんとなく」始める方がいい。

      この説に基づいて考えると、本を読んだ子供にお金を渡すことは、
      読書に対して「明確な理由づけ」をしてしまっている、と言える。
      「なぜ僕は本を読むのだろう」と考えるチャンスを奪っていることになる。
      危ない実験だし、けっきょく生涯にわたる学習意欲の推移を調べなければ
      いちばん知りたいことが分からない。
      洞察すべき領域を実験が侵している、と僕は考える。

      親コメント
      • 本を読んだ子供にお金を渡すことは、読書に対して「明確な理由づけ」をしてしまっている、と言える。

        これは「日本語」で考えるときによく陥る混乱。

        『ある本を読んだ子供にお金を渡すこと』は、『その本を読む』事に対して明確な理由付けをしているが、『それ以外の本を読む』事に対して理由付けをしているわけではない。

        「その本を読む」「それ以外の本を読む」は両方共「読書」という日本語で言い表せるので、前者への動機づけをもって後者に対する動機づけまでしてしまっているように感じるかもしれないが、それは間違いだ。

        .

        「明確な理由付け」は「明確な対象」に対して行われる。対象を明瞭にしていない「読書」のような行為に対しては理由付けになっていない。なので、この実験が危ういと心配する必要はない。

        --
        fjの教祖様
        親コメント
        • 「明確な理由付け」は「明確な対象」に対して行われる。対象を明瞭にしていない「読書」のような行為に対しては理由付けになっていない。なので、この実験が危ういと心配する必要はない。

          どうしてこんな風に間違えるのだろう?
          たとえば「チョコレート工場の秘密」を読んだ子供にはご褒美をあげるよ、といえば、
          子供の頭の中では「チョコレート工場の秘密」を読む理由を探す、という機能がスポイルされる。
          もし機能していれば、「チョコレート工場の秘密」に特有の理由を見つけていたかも知れないし、
          ロアルド・ダールの本に特有の理由かも知れないし、あるいは読書一般の理由かも知れない。
          3番目である可能性は十分にある、と僕は思っているので、この実験は危険だとしている。

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            この研究にあてはまるかどうかは知らないが、一般論としては、
            だれかがいかにも自分の考えが正しいと宣伝している結果予測が、
            必ずしも正しい結果とは限らない。本来出るべき研究成果を阻害する
            場合もある。

            >どうしてこんな風に間違えるのだろう?

            それは愚問だな。
            たとえ元コメント主が答えたとしても、この話の真偽をキミが憶測する為の材料にはならないぞ。
            そうなるためには今少し明晰な頭脳が必要で、もしそれが備わっていればこんな愚問は出て来ない。

            >3番目である可能性は十分にある、と僕は思っているので、この実験は危険だとしている。

            キミ大馬鹿者だな。自分を成長させない為のロックをしっかり掛けてしまっている。
            それにしても呆れた想像力だ。よほどバカな上司に囲まれているんだな。
            まあジタバタしたってキミに成長するチャンスはない。
            おそらく子どもの教育にも失敗して悲惨な老後を送ることになるだろう。

      • by Anonymous Coward

        >洞察すべき領域を実験が侵している、と僕は考える。

        それがどういう影響を及ぼすか、の実験なのに実験すること自体が悪い、と考えるようだから、お前は成長しないw

  • by Gockie (33276) on 2010年04月13日 21時41分 (#1748362)

    やる気に関する驚きの科学 (TED Talks)
    http://www.aoky.net/articles/daniel_pink/dan_pink_on_motivation.htm [aoky.net]

    最近こういう研究ってのをどっかで見たと思ったら、コレだった。
    サム・グラックスバーグの実験によると、クリエイティビティを必要とする仕事にインセンティブは逆効果、みたいな話。

    問題を解いたご褒美が、さらに難しい次の問題ってのが巧く回ればいいんだけどね。
    頭の体操的なゲームみたいに。

    • by Anonymous Coward
      会社で空き時間とか見つけてこっそり作ってるプログラムの方が出来が良くて開発時間も短く済むのはそういうことなんだね
    • by Anonymous Coward

      給料を仕事で払える会社>給料を金でしか払えない会社、みたいなものですね。

      伝え聞くところでは、金以下なのに仕事で払う所もあるようですが。

  • 単純に (スコア:1, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2010年04月13日 15時30分 (#1748083)

    >ちなみに標準学力テストにおいて最も高い効果が現れたのは、低学年を対象にした最もお金が掛かってないプログラムだったという。
    低学年の方が学習効果が高いってだけじゃないかとも受け取れる。
    年小のうちに読解力の能力が付けば、全ての学習に影響するだろう。
    昔家庭教師のバイトをした時に、文章を読まない・人の話を聞かない・内容を考えないって生徒のリハビリにランベを読ませて感想文を書かせたら妙に効いてしまったのを思い出した。
    読んで、考え、そして他人に伝える。ってのは総合的な能力に繋がりますから。

    • by Anonymous Coward

      ランベってなんですか。

      • by Anonymous Coward
        もしかして: ラノベ

        ラノベならどの作品なのか興味あるなぁ
  • 一年で試験期間を終えたのもすばらしい。
    結果についてはぜひとも今後の参考にしたい。

    日本でこういうことをやると、
    「参加した地域としない地域で不平等が発生する」
    「悪影響が出たら誰が責任をとる」
    「誰の判断で参加を決めたのか」
    「個人が参加しない自由があるのか」などなどの、
    面倒くさいことを言う人たちがたくさん出て実現しなさそうですね。

    私見ですがとあらかじめ断っておくけど、
    「ゆとり教育」もこうした社会実験のひとつだったんだろうに、
    「政府の施策は成功しなければならない」という偏見が終了の判断を遅らせ、
    かえって弊害を大きくしてしまったんだろうなぁ。

    --
    # mishimaは本田透先生を熱烈に応援しています
    • 私立大学付属のエスカレーター式初等学校で試せばいいと思うんです。成績いい人は将来の学費を減額もしくは免除、とか…… ってもうやっているかもしれないと思いましたが。そういうところは学生のモチベーションが高い傾向があるとか、あるのでしょうかね。必死になるのは学生じゃなく保護者かもしれませんけど。

      大体ああいった私立大学付属校というのは「長年お金を払って大学のブランドを買う」のか、「実力で大学に入学してブランドに貢献する」のか、どちらかが求められているんだし。

      --
      人生は七転び八起き、一日は早寝早起き
      親コメント
    • by Anonymous Coward

      そうそう、民主党政権も社会実験なんだからちょっとグーグルマップ見て思い付きで米国に提案したくらいで文句言うな。

    • by Anonymous Coward

      > 日本でこういうことをやると、
      > …
      > 面倒くさいことを言う人たちがたくさん出て実現しなさそうですね。

      本来は「教育学部付属学校」はこういう実験をするために作られたんだと思うんだけどね。どうも受験教育だけに特化していますよね。

      教育学部付属学校で利口な子どもだけを集めて受験のための教育をするって、医学部付属病院なのに健康なアスリートだけを集めてトレーニングをさせてるイメージなんですよ。

      付属病院で、患者に新薬や新しい手術法を試すように付属学校でこのような新しい教育法も試さないとだめですよ。

      • 私が見聞きする範囲では、附属高校というのは受験にとらわれず、
        結構いろいろな試みをしている、という印象があります。

        とはいえ、指導要領もあるなかで派手な実験ができるわけでもなし、
        カリキュラム自体は標準的なもののなかで工夫する、という感じですが。

        親コメント
        • by Anonymous Coward

          > とはいえ、指導要領もあるなかで派手な実験ができるわけでもなし、
          > カリキュラム自体は標準的なもののなかで工夫する、という感じ

          正直言って、そういうのって「公立の教育学部付属校にしかできない」ものじゃないです。もっとexperimentalなものをすべきなんですよ。「現在考えられている"よりよい教育"」をするなら別に私立の受験校でもやってますから。

          本来なら「ゆとり教育」でも「つめこみ教育」でも、こういう教育学部付属校で試行してから指導要領に載せるってのが自然でしょ。こういう試験ができる場所まで指導要領で縛ってしまうと、「じゃぁ指導要領がうまくいく根拠って何?」と思いますよ。

    • by Anonymous Coward
      日本でも今回ほど大胆な実験じゃないけど、
      「男子に家庭科、女子に技術科を学ばせる」とか
      「小学校で英語を教える」実験校とかいろいろありましたよ。
  • by Anonymous Coward on 2010年04月13日 16時30分 (#1748150)
    小学2年生の頃と高学年では2ドルの価値観は異なると思われますが、さて
  • by Anonymous Coward on 2010年04月13日 15時17分 (#1748069)

    「お金をあげるよ」と言われたのにもらえなかったの? ひどい…

    • Re:対照群は (スコア:1, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2010年04月13日 15時25分 (#1748074)
      それはやる気を落とすから対照群としてはダメなんじゃないかなぁ
      親コメント
    • by Anonymous Coward

      対照群なのだから「お金をあげるよ」と言わなかった場合どの程度成績が向上するかを見たのでしょう。

  • by Anonymous Coward on 2010年04月13日 15時40分 (#1748093)
    こういう子ども手当だったら
    ごく一部の特殊な組合員以外は賛成するんだろうな・・・
  • by Anonymous Coward on 2010年04月14日 11時05分 (#1748629)

    報酬を貰って鼻歌交じりで帰宅の通学路でドブに落ちやがれ

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普通のやつらの下を行け -- バッドノウハウ専門家

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