先日、Linus Torvalds氏が自身のLinuxコミュニティへの態度に反省し、一時的に開発から離れることを表明するという出来事があった。これを受けてLinuxの開発方針にも若干の変化があり、Linuxカーネルの開発やコードの貢献に対する指針についても変更されることとなった(FOSSBYTES、ZDNet)。
今までの開発指針(「Code of Conflict」、CoC)では、開発者が提案したアイデアやコードに対しては批評・批判が行われ、ときにはそれが否定されることもあるとしつつ、そのプロセスによって個人攻撃や脅し、不快なことが発生することは認められないとする、シンプルなものだった。
一方、新たな開発指針(「Code of Conduct」、CoC)では「オープンで歓迎的な環境を確保する」とし、「誰にとってもハラスメントフリーなコミュニティを作る」ということがまず宣言されている(変更差分)。また、認められない言動の例としては以下が挙げられている。
- 性的な言動
- 荒らし、侮辱、名誉棄損的なコメント、個人/政治的攻撃
- パブリック/プライベートなハラスメント
- 個人情報の暴露
- そのほかプロフェッショナルにふさわしくないと考えられる行動
しかし、この新CoCに対し一部の開発者らは「social justice warriors」(「オルタナ右翼」が彼らに反対する人達を揶揄する言い回し)にLinuxが乗っ取られたと主張し反発しており、たとえばPHP開発者として知られるPaul M. Jones氏はLinuxへの貢献や支援を止めるべきであると述べている。
さらに一部の開発者らはLinuxカーネルに寄贈したコードについて、そのオリジナルの開発者にはいつでもその利用を取りやめさせる権利があると主張、新たなCoCに反対するためにその権利を行使すべきだという意見も出ている(LKMLへの投稿、LULZ)。
こういった動きに対し、オープンソース関連活動で知られるエリック・レイモンド氏は、こういった「攻撃」は実際に法的に可能であると述べつつ、「我々の目的は何なのか」「この目的を達成するために必要な行動は何なのか」を考えればするべきことが分かるだろうとしている(LKMLへの投稿)。