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行政も全く何もしていないわけではなく、会社法の改正の中で有限責任事業組合(LLP) [meti.go.jp]というのが作られ、有限責任(負債が発生しても出資額以上の責任を問われない)、内部自治(事業の中での役割分担などに応じた議決権、利益の配分ができる)、構成員課税(実質的に貢献した人へのインセンティブ)など、起業のリスクを下げ、人のやる気を起こさせる仕組みが考えられているそうです。産業界からのグラントの受け口にもなり、何はなくても少しでもお金を回しやすくするという考え方です。書籍 [google.com]もいろいろあります。
一人の人がやれる仕事には限界があって、複数の人の才能を集めるために会社を作るわけですが、人的会社はこれまで合資会社、民法組合など無限責任だったので、LLPは画期的なんだそうです。でも、株式会社でも、小さいところは結局経営者の個人保証で実質無限責任なので、本当に有限責任で運用できるかどうか分からないです。共同事業性が認められなければ民法組合として扱われるとあって、組合員に自由度が高いということは、悪い人が組合の名前を騙って負債を作るとかもあり得て、すると騙された組合もちゃんと管理していなかった、共同事業性がなかったから悪いということで、全員無限責任と言う恐ろしいことになる可能性があります。制度に悪用される穴もありそうということです。
本を読むと必ずアニメ制作会社が例に出てくるのだが、本当の事情を知っているのか、それとも役人が萌えているだけなのか。
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UNIXはシンプルである。必要なのはそのシンプルさを理解する素質だけである -- Dennis Ritchie
ファイゲンバウム氏、曰く (スコア:4, 興味深い)
ファイゲンバウム先生を迎えけいはんな学研都市発「知の発信」公開講演会6月16日 [kri.or.jp]を聴いてきました。
氏によると、問題は人材よりもむしろベンチャーを育てる土壌が日本には欠けている点だろうとのことでした。
良い技術・アイディアを持つベンチャー企業のうち多くが回転資金不足で倒れていくわけですが、それを軽減するような行政・周辺企業の仕組みがシリコンバレーで多くの優良ベンチャーを育てる大きな要因となっている、との論を展開されていました(具体例や数値は失念しましたが)。
そういった土壌を作る動きと、今回のニュースのような"学"からのアプローチを進める動きが融合すると良い形にまとまるのでは、と期待して見ています。
なお、関西だってベンチャーできるぞ!プロジェクト ~シリコンバレーに学ぶ起業の秘訣~ [uketsuke.jp]でも同様の内容を話されたようです。
Re:ファイゲンバウム氏、曰く (スコア:3, すばらしい洞察)
例えば、採決権のある人(投資家でも可)が
「顧客はより大容量な製品を求めています。製品サイズは問題ではありません。容量を拡大することこそ市場のニーズにマッチしているのです」
と言う話と、
「この超小型機器は容量こそ小さいですが、サイズもこれだけ小さいために必ずどこかに市場があります。この製品を求める顧客が存在するはずです」
という話を聞いたら、まず、前者に投資するよね。
……と、思う人の割合が、アメリカに比べて日本の方が多いんじゃないだろうか?
つまり、市場に求められてないものを作ってもしょうがない、という思想の持ち主の割合が多いんじゃないだろうか? ということ。
けれど、結局、今ある市場に参入したところで、よほどの幸運と才気に恵まれていない限り、その市場のニーズを満たしている企業から市場を奪い取る事なんて、まず出来る事じゃない。
だから、起業するなら新しい市場を作り出すくらいの勢いでやった方が成功確率は上がるんだけれど、でも、そこに投資しようという人がいないもんだから、攻めるどころか、スタート地点に立つことすら出来ない。あるいは、自己資金で始めるんだけれど、途中で回らなくなってしまう。
これでベンチャー企業が生まれるわけがない。
もちろん、割合の問題だから日本でも全く無理、ということはないだろうけど、行政や周辺企業がサポートしてくれる仕組みがあると聞くと、シリコンバレーがうらやましく思えてくる。
もっと単純に「失敗を恐れる日本人」「成功しないことを恐れるアメリカ人」でも良いけど。
Re:ファイゲンバウム氏、曰く (スコア:3, 興味深い)
行政も全く何もしていないわけではなく、会社法の改正の中で有限責任事業組合(LLP) [meti.go.jp]というのが作られ、有限責任(負債が発生しても出資額以上の責任を問われない)、内部自治(事業の中での役割分担などに応じた議決権、利益の配分ができる)、構成員課税(実質的に貢献した人へのインセンティブ)など、起業のリスクを下げ、人のやる気を起こさせる仕組みが考えられているそうです。産業界からのグラントの受け口にもなり、何はなくても少しでもお金を回しやすくするという考え方です。書籍 [google.com]もいろいろあります。
Re:ファイゲンバウム氏、曰く (スコア:2, 興味深い)
現実に会社を回そうと思ったら,連帯保証人欄に判をつかなきゃいけないのは公然ですなぁ.
無借金を標榜しても,まずオフィス借りる辺りから個人の実印が要るのよねぇ.
// 無限責任社員として登記されているID
from もなか
看板 (スコア:1)
できないことはないけど、そのことにより「商売そのもののセフティを考えると、起業家自身がリスクを背負うのは当然」・・・・・という考え方の経営者(つまり客)が多いので、仕事がなかなか増えない。だったら初めから個人事業の方がいいよね?・・・・となってしまわない?
Re:看板 (スコア:3, 参考になる)
いやまあ法人格がないとという場面にはでくわしたことがありますが,種別を問われたことはないです.
現行法での株式会社の最低額に匹敵する資本金を積んでいますが,株式会社化を金融機関や税理士から勧められたこともありません.
結局貸す側としては,売上高と直近6ヶ月の資金繰りが判断基準のようです.一応SBIR認定もされていますが,この手の制度は使い勝手が悪い.;-)
私,合資会社のほかに有限会社も持っているのですが,2社を比較すると,合資会社のほうが融資限度額が遥かに高いです(10倍以上違います).
LLCは有限責任の人的会社という位置づけですから,合資/合名に準じた扱いを金融機関はしてくるでしょう.たぶん.
> 初めから個人事業の方
法人格の有無は,ある程度の規模になると効いてきます.世間で言われる節税以外にも,取引相手が法人格を要求する場合があり,結構切実です.
大都市圏のソフトウェア業の場合,たぶん売上高2千万超が一つの目安でしょう.
それ以下なら青色個人のほうが気楽です.
from もなか
Re:看板 (スコア:2, 興味深い)
一人の人がやれる仕事には限界があって、複数の人の才能を集めるために会社を作るわけですが、人的会社はこれまで合資会社、民法組合など無限責任だったので、LLPは画期的なんだそうです。でも、株式会社でも、小さいところは結局経営者の個人保証で実質無限責任なので、本当に有限責任で運用できるかどうか分からないです。共同事業性が認められなければ民法組合として扱われるとあって、組合員に自由度が高いということは、悪い人が組合の名前を騙って負債を作るとかもあり得て、すると騙された組合もちゃんと管理していなかった、共同事業性がなかったから悪いということで、全員無限責任と言う恐ろしいことになる可能性があります。制度に悪用される穴もありそうということです。
本を読むと必ずアニメ制作会社が例に出てくるのだが、本当の事情を知っているのか、それとも役人が萌えているだけなのか。
Re:ファイゲンバウム氏、曰く (スコア:1, 興味深い)
とにかく、ファイナンスの影響は大きいですね。
伝統的に日本人の貯蓄性向性が非常に高かったことから、かつて運用側も低リスク債権に投資せざるを得なかったという面があります。今でも大枠はさして変わりませんが、低リスク債権にはリターンがほぼない状況が続いています。こうした環境下、ある程度リスク債権にも目を向ける人が増えてきていることから、今後ファイナンスの面ので改善が期待できなくはないと考えます。
Re:ファイゲンバウム氏、曰く (スコア:2, すばらしい洞察)
新しいアイデアや技術を持った人が孤立化しちゃうってことはたびたび起ってるように思えます。これは、青色LEDの開発者の話でも、かなり孤立化していたようですしね。強い意志で実現しちゃったようですから。。。その後の泥沼化はここでは論じないけど。
では、どうして育てる土壌がかけているのか?というと、行政にしても資金提供したり協力する側にしても見る目が養えていないという問題に原因があるように思っています。それ故に横並びでいることの楽さを選んでいるのかなとね。
国民栄誉賞がノーベル賞の後追いや死んだ後に授与されるなんても判断する側が自身で判断する能力が欠ける為に自分たちの判断以外の物で決めてると言っていいことは一つの例でしょう。銀行の貸し渋りに関してはどのような査定をしているか知らないのでコメント出来ませんけど。
そんなこんなで、革新的な技術を持ったベンチャーが出ても孤独な闘いが待っているのでしょう。シリコンバレーのことは詳しく知らないけど、この辺が違うのではなかろうか?
だから、みんな見る目を養おう!ってことが結論です。笑